基線測量
三角測量において、最初の一辺の長さを決めるために二点間の長さを直接測定する作業を 基線測量といい、この測定した辺を基線といいます。点間距離約45kmの一等三角測量の場合は、一辺を直接測定できないため、全国に長さ2km から10kmの基線を設置し、この基線と一等三角網の
一辺をつなぐ基線三角網によりその一辺 の長さを計算で求めました。陸軍における最初の基線測量は明治15年(1882)に相模野基線(神奈川県)
で行われ、これ以降、大正2年(1913)の択捉基線まで全国15ヶ所で基線測量を行いました。
基線の測定には、13基線で「ヒルガード基線尺」
(長さ4m)、2基線で「インバール基線
尺」(長さ25m)が使用されました。
相模野基線
相模野基線は、全長が約5.2kmで、相模野基線南端点(一等三角点「座間村」)と、同基線北端点(一等三角点「下溝浦」) )があり、測量技術の進歩とともに数回に
わたり測量が行われているほか、大正12年(1923)の大正関東地震や平成23年(2011)の東北地方太平洋沖地震の地殻変動による地形変化の様子を知るための観測も行われ、現在も重要な役割を果たしています。
相模野基線南端点と同北端点は、明治15年(1882)に当時の陸軍省参謀本部測量課(後に陸地測量部、現在の国土地理院)が全国の三角測量を実施するために設置したもので、いずれも日本の測量や地図を作る上で重要な役割を果たした、最古の基線端点です。
相模野基線を三角形の一辺として、一等三角点「長津田村」及び一等三角点「鳶尾山」を頂点とする三角形が形成され、さらに日本各地の一等三角点へつながっています。全国の三角点網は、大正2年(1913)に完了し、二等、三等三角点の整備も進められ、大正13年(1924)には全国を網羅する縮尺5万分の1の地形図がほぼ完成しました。