北ア・立山〜薬師岳         八月四日〜八日

 三年前に計画、五色ヶ原で凄まじい雷雨に会い、平の小屋・黒部湖に下山して敗退した処、今年こそと、富山への夜行バスで出かける。今回偶然にも親しい岳友と共に歩くことになり楽しい山行になった。富山からの直通バスで寝不足状態のまま室堂に到着する。下界とは打って変わって涼しく良い天気。九時過ぎに出発する。一ノ越経由でなく室堂山・浄土山を越えて十一時過ぎに龍王岳、五色ヶ原へ向かう。鬼岳の肩を過ぎ斜面に高山植物が多い。獅子岳の鞍部までは急な下りのガレ場と雪渓のトラバース、雪渓を下るとカール状になっていて、獅子岳への登りの斜面はお花畑が広がる。獅子岳に一三時着。ガスが出てきて今まで越えてきた龍王岳や雄山などが見えなくなった。黒部湖をはさんで針木ノ岳や後立山連峰もすっかり隠れてしまった。
 ザラ峠への下りは梯子もある急坂で、三年前の時も感じたのだが、十四年前に七四歳の母親を連れて歩いた時に比べて登山道が変わっているし、かなり荒れている。ザラ峠十四時、さらに緩やかな道を上って五色ヶ原キャンプ場に十五時に到着する。岳友は小屋泊まり。小屋で暫し乾杯。テントに戻り一人さびしく小雨と霧の中で【菊水】をいただいて和む。
 朝方小雨が降るも天気は急速に回復して良い天気になる。
テント場の朝は早く、つられて岳友との出発時間も早くなってしまった。蔦山への緩やかな登り、お花を愛でながら朝日を浴びて歩く。残雪が朝日に鮮やかに栄える。蔦山に七時二十分、これから向かう正面には越中沢岳、どっしりした姿の薬師岳が望め、振り返れば五色ヶ原が一望でき、阿弥陀が原高原、雄山、大日、奥大日岳も望める。本日泊まるスゴ乗越小屋も遙か下に見える。越中沢岳へはハイマツ帯を下り、石のゴロゴロした広いなだらか尾根道を登って九時に到着する。薬師岳が一段とどっしり大きく見える。越中沢岳からの下りは急なやせ尾根で、ガレ場、岩場もあり結構疲れた。下りきってスゴ乗越に十一時半、疲れた体で登り返してテント場着。テントを張り終え小屋で乾杯。
 三日目は薬師峠でのテント泊の予定で五時半に出発する。良い天気・快晴のなか間山への急登が始まる。それでもさわやかな気分でドンドン高度を稼ぐ。六時半に間山に到着する。気持ち良い。いくつものピークを越え、岩がゴロゴロとした平坦の道となって北薬師岳に八時過ぎに到着する。越えてきた立山方面の展望も良い。これから向かう本峰へは金作谷カールを左に見ながら、大小のゴツゴツした岩尾根を越え、九時半に薬師岳に到着する。十八年ぶりの山頂。前方には槍・穂高連峰が近くなり、後方の剱・立山連峰は今までより小さく見える。360度の展望を充分楽しみ太郎平小屋へ向けて砂礫だらけの広々した緩やかな尾根を下っていく。出来れば本日中に富山へ降りてしまうことで、途中の山小屋でバスの時間を確認、時間的に余裕が有り折立へ下ることにする。薬師峠への下りは沢の中の道で、非常に歩きづらい。折立からの下りも石畳の道で非常に歩きにくい。十八年前の記憶では土の登山道と記憶している。
 折立からの最終バスで有峰口、電車に乗り換え富山に十六時過ぎに着。夜行バスも空席があり、駅近くの銭湯で汗を流し、居酒屋で「豪勢に」打ち上げをする。良い天気に恵まれて、岳友との楽しい時間を過ごし、充実した山行になった。                   

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