羽後朝日岳           4月16日〜18日

 奥羽山脈の弧峰、朝日岳は同じ和賀山塊の中でも和賀岳や薬師岳、白岩岳のような信仰の香りが一切ない。登山道はなく昔から「朝日畚」の名で親しまれてきた名山である。和賀岳と並ぶ和賀山塊を代表する山だが、奥羽山脈の主稜線から西に外れ、いまだ孤高の地位を保っている。登山ルートは秋田県から沢を詰めて灌木帯の藪こぎを経て山頂に達することができ、たおやかな稜線に広がる一面の御花畑を眺める事ができるとのこと。大荒沢岳から強引に藪こぎで登る強者もいるらしい。
 和賀山塊三度目の今回は残雪を利用して灌木帯の藪こぎを避けて登る予定とし、コースは昨年偵察山行で歩いた貝沢登山口から大荒沢岳経由で山頂に至るもの。アプローチとの関係で途中テント泊とする。小雨の中、夜行バスに乗り込み直ぐに寝込んでしまう。
 バスが遅れ北上での電車の連絡が悪く貝沢バス停に着いたのが10時30分頃、天気は良くて汗ばむほど。バス停の雑貨屋で足らないものを買って登山口への車道を歩き始める。人家が無くなると除雪されてなく、ヅボヅボと埋まる。登山口12時、本日のテント場・前山分岐までひたすら急坂を登る。雪は締まっていてそれほど埋まらない。テント場14時着。風を避けて尾根の少し下がったところにテントを設営する。
 翌日も快晴、夜明けの明るさで目が覚める。6時出発。アイゼンが心地よく効く。伸びやかな雪稜尾根を気持ち良く歩く。沢尻岳(県境尾根)に七時、目の前に大荒沢岳と羽後朝日岳が望める。素晴らしい眺めにゾクッとして、しばし見入ってしまった。一度下って大荒沢岳へ登り返し、7時30分着。前回は此処までで、ひどい灌木藪を思い出す。遙か遠い存在だった羽後朝日岳が、ドッシリと大きく目の前に望める。急坂を駆け下り登り返す。広い尾根を快晴の中ゆったりと登る。最後の急な雪稜を登り切ると、広い羽後朝日岳の山頂で8時過ぎ到着。風が強くて写真を撮り早々に下山、風をよけて少し下がったところで休憩、じっくりと展望を楽しむ。和賀山塊の山々や、岩手山、秋田駒ヶ岳、八幡平、鳥海山などが望める。帰りは展望を楽しみながらのんびりと歩く。県境尾根につながるモッコ岳の姿が印象に残る。この山も登山道がなく強烈な藪こぎの山、残雪期に山頂を踏んでみたい思いがした。今回日帰りの登山者に会う。天気に恵まれれば日帰りは十分だと思う。
 テント場10時着、撤収して登山口11時半着。嫌な車道を歩いてバス停13時着。バスの時間まで日向ぼっこをしながら幸せな気分でビール、酒を飲む。湯本温泉で汗を流し、北上で前回と同じ居酒屋で乾杯!。夜行バスで帰る。

大荒沢岳           羽後朝日岳
羽後朝日岳を振り返る

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