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南ア・北岳

8月26−28日

新宿7:00−甲府−広河原11:02、12:00〜白根御池14:30(テント泊)、6:00〜小太郎
分岐8:30〜北岳肩の小屋〜北岳10:00、11:00〜小太郎分岐〜二俣〜白根御池14:30(テント泊)、8:30〜
二俣〜広河原11:15、12:00−甲府14:00、15:00−新宿17:25

 毎年、我が家恒例の夏の行事にキャンプがある。なにもせずテント生活を楽しむといった、ある意味では贅沢なキャンプだが、今年はどうしたことか「北岳に行くぞ」との一声で本格的なキャンプになった。
 さあ大変、普段から運動をしていない私は、何年か前に北岳へ行った時の下りのへろへろ状態を思いだし、にわかトレーニングを始めた。
 準備万端、3日間の山行に出発。天気は上々。登りは急で、息が上がってしまい苦労したが何とか平均タイムより早めに到着した。「ピッチ、ピッチ」という声に「そうね、そうね」と思っていても大股の急登コースに進んでしまい、「なんで、なんで」と何度も思った。登りがこんな調子だったので下りのことを考えるととても不安だった。テント場は白根御池で2泊した。白根御池の小屋は何年か前の雪崩でログハウスがプレハブ住宅に変わっていてみすぼらしかった。
 翌日も晴れ。お弁当のおにぎり、雨具、水を背負ってもらい、私は空身という楽々登山に、しかも遅い出発で草すべりを頂上目指し登る。花は夏の花が終わり秋の花が咲き始めていた。白、薄紫、ピンク、黄色と色とりどりに咲き誇り私達を迎えてくれる。特にトリカブトは、思わず目をうばわれるほど鮮やかな紫色で、何回出会っても感動した。本当にきれいだ。そういえば前回は柳蘭やスカシユリが咲いていた。風がさわやかで汗をかいても気にならない。休み休みゆっくりと花の写真を撮りながら頂上を目指す。
 頂上は結構混み合っていた。ガスがかかり眺めは良くなく、せめて、ガスに隠れている間ノ岳の姿が見えるまで、と石に腰掛けじっと待ったが結局姿を見せてくれず、残念だが下山する。下りはきつかった。往路を戻り右股コースで二俣分岐につく頃にはどうも豆が出来たようで親指が痛かった。我慢して下山。当然無口になる。余裕綽々の夫は買ったばっかりでうれしいのだろう、カメラで花を撮りまくっている。そのたびに早くテントに帰りたい私は少々いらつき、ますます無口になる。案の定豆が出来ていた。靴ひもがゆるんでいたせいと聞き、よし、明日は本格的な下りだから、しっかり締めよう。
 真っ青な秋空の下テント撤収後8時過ぎに下山。二俣から大樺沢コースをひたすら下る。前回と同じコース、また、不安がよぎる。あの時は頂上から一気に下ったためか、情けないほど膝ががくがくになり、ほんの少しの段差も降りられなくなって下山後、国民宿舎の温泉に入ったが、2階の浴場から玄関までの階段を座りながら降りるというなさけない状況だった。ここでまた、へろへろになったらどうしようと思ったが、白根御池からの下山だったので思ったより楽で、無事下山し缶ビールとコーヒーで乾杯。スリルと不安と楽しさが入り交じった、中身の濃い夏のキャンプだった。               (H記)